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2005/05/24

スローなバス?

20050524
Leica MP + Summicron 35mm f2 (6elements)

先日の路面電車とはスローつながりのエントリーです。
路面電車と違ってバスはより生活に密着した対応が可能です。「○○団地ゆき」「××大学ゆき」など普段の生活の足となるようにカスタマイズされています。逆にそのために知らない土地では観光ベースのメイン路線以外はだいたいが複雑で、なかなか飛び込みでは乗りにくいものになってしまっています。
残念ながら日本のバスは「効率のよい移動手段」というところに重点が置かれていて、「バスだから楽しい」という要素は路面電車より希薄なのは仕方がないことだと思います。

そういった中でバスに乗ったことで一味違った経験をさせてもらったことがあります。
エジプトを一人旅している時、カイロから適当にオールドカイロ方面に向かうバスに乗ったのですが、あまりその方面に観光客が乗ることは少なかったようで、バスの中で最初から私は全くの異邦人だったのです。バスの一番後ろに座った直後からみんなちらちら振り返りながら私に愛想をしてきます。周りの人からは

「どこから来た?」
「どこを見た?」
「どこで降りるの?」
「エジプトは好きか?」
「タバコ持ってないか?」
「キャンディーあげるよ」

など話かけられまくりです。(アラビア語となまった英語のちゃんぽんで大雑把ですが)また、日本の昔のバスと同じく車掌さんが乗っておりバスの中で切符を買うのですが、混んでくると車掌が新しく乗った客のところまでたどり着けないため、バス賃とおつりが客の手によってバケツリレーされてゆきます。私の降りる駅が近くなると

「ここだ、ここだ」
「おい運転手、こいつが降りるまで出発するなよ」
「気をつけて行けよ」

とバスに乗っている人たちが皆、私に声をかけてくれました。さらに降りた後は全員でこちらに手まで振ってくれたのです。
乗っている人たちにしてみれば日本と同じく「移動手段としてのバス」なのかも知れませんが、人と人との距離感が違うだけでこんなにスローでいい思い出になってしまうのです。


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コメント

ええ話ですな~ これこそが旅の楽しさでしょう。

小学生の頃(当時は鉄ちゃん)、真冬に近江長岡というところまで写真を撮りに行ったとき、寒さで震えているぼくを見かねた保線員のおっちゃんが 「温まっていきなさい」 と事務所でお茶をごちそうしてくれたときは嬉しかったなあ。あの一杯が忘れられないので、旧国鉄もJRも嫌いになりません(笑)

投稿: 秀丞 | 2005/05/25 14:53

>秀丞さん
エジプトにしても人によっては観光客目当てのしつこい勧誘で辟易した人もいるようです。ようは国とか組織の問題ではなく人との触れ合いのありようなんですよね。

投稿: Shig | 2005/05/25 21:35

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